[00:00.000] 作词 : 椎名林檎 [00:00.682] 作曲 : 椎名林檎 [00:01.365] 白日のもと、 [00:06.092] ただ歩いている案山子(かかし)。 [00:09.517] 北東へ向かって二駅三駅と。 [00:14.527] 何一つ欠いていない。 [00:17.355] 急にふとそう思えて、 [00:20.839] 東京を踏み締めている。 [00:27.458] 染井吉野の木立。 [00:30.939] 中央線沿いに根差し開(はだ)かる。 [00:35.924] ほら、目を瞑っても、 [00:38.469] 射し込んで滲(し)みて来る [00:42.204] 嫩葉(どんよう)。 [00:45.151] 青々と酸っぱい太陽。 [00:48.900] いまという未来。 [00:52.675] 私がイメージしたことあったっけ。 [00:59.959] いいえ、まだ新緑の眩しささえ、 [01:06.564] 愛せずにいる。 [01:10.988] [01:20.907] 土曜の正午過ぎ。 [01:24.150] 神保町と後楽園は弾(はじ)き合う。 [01:29.161] 上下六車線の大通り、 [01:34.477] 暗黙の国境をなぞっている。 [01:40.289] ねえ、どうしたいの。 [01:42.020] 過去に帰りたい。 [01:45.893] かつては全知全能だったっけ。 [01:53.128] いいえ、いまも。 [01:54.431] 私の胸に唯一の愛、姿だけ変える。 [02:03.397] 最初は深海。 [02:07.597] やがて夜空を経て洞窟まで。 [02:12.458] 転身の度、肥大する存在。 [02:20.669] 砕けそうだ。 [02:24.622] [02:45.178] あなたはもういないと、 [02:50.115] この身を抉って丸めたとして。 [02:57.085] 体自体が記憶を遺すデバイス。 [03:03.717] 投げ捨てたいのを堪えて [03:07.621] 生き存えている。 [03:11.475] この世の果てに [03:14.399] 一人のあなたを宿したまま [03:20.095] 覚えたままでいたい。 [03:25.111] 静かなる攻防。